メディアや教科書が使う「イッキ飲み」の概念は語弊がある。


これから成年になるみなさんに、是非お伝えしておきたいことです。


毎年のように、急性アルコール中毒でなくなる学生がいます。残念なことに、今年も死者が出ているようです。


一橋大1年生が寮で飲酒後死亡、急性アルコール中毒
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080428AT1G2800T28042008.html


なぜ、名の知れた国立大学の学生までもが死にいたるのでしょうか。


ここで自分は「イッキ飲み」という言葉が一人歩きしているという点を挙げたいと思います。急性アルコール中毒とは、短時間の飲酒によって起こる中毒症状です。息継ぎをせずに飲むことが危険なのではありません。


自分が大学生だったころ、ある年に「自分がどれだけ飲めるか試したい」と言って、人からそそがれるのを拒絶して自分で注いでいた後輩がいました。しかし、試す、というわりには随分飲んでいたようなので、忠告しました。


「ずいぶん飲んでるねえ。大丈夫か?」
「いや、全然大丈夫ですよ!」
「アルコールがまわるのには時間がかかるよ。
 座っていても分からないが、立ち上がって歩きはじめたときに一気に回る。
 帰る途中で倒れないようにな。」


後輩君はこのことを知らなかったらしく、自分からの忠告を受けてかなり驚いていました。これは酒飲みにとっては常識ですが、成人したばかりの人にとっては分かりにくいことなのだと思います。



酒提供:「餃子の王将」バイト店員3人が女子高生に 川崎
http://mainichi.jp/select/today/news/20080319k0000e040028000c.html


この事件でも、女子高生は会計を済ませて店の外に出たあとで倒れています。



イッキ飲みはダメだ、自分のペースで飲むようにしよう、と言われても、回数を重ねないとどの程度飲めるのかは分かりません。メディアや教科書は息継ぎをせずにお酒を飲むイッキ飲みと、短時間でのアルコールの大量摂取をごちゃまぜにしています。「短時間」というのは数十分のことを指します。「イッキ」ではなくとも、1時間から2時間程度の飲み会で、自分が飲める量を「試す」と酔いつぶれたり急性アルコール中毒になる可能性があります。


新歓コンパなどは他人からじゃんじゃんお酒をすすめられるので、そういう席で「飲める量」を試すことは難しいです。そこで、自宅で晩酌をして試してみるとよいと思います。こういう方法が考えられます。

  • まず、飲む時間は夕食時の2時間と決めておきましょう。
  • 最初は2時間で生ビールを中ジョッキ1杯飲みます。
    • その日はそれだけにしておきます。
    • これで苦しいようだったらあなたは下戸です。他人とはお酒を飲まずに烏龍茶を嗜みましょう。
  • 次の機会では1時間に1杯。2時間で計2杯飲みます。
    • その日はそれだけにしておきます。これで苦しいようだったらそれ以上は飲まないようにしてください。
  • さらに次の機会には40分で1杯。2時間で計3杯飲みます。
    • その日はそれだけにしておきます。これで苦しいようだったらそれ以上は飲まないようにしてください。
  • そのまたさらに次の機会には30分で1杯。2時間で計4杯飲みます。
    • その日はそれだけにしておきます。これで苦しいようだったらそれ以上は飲まないようにしてください。


こういう飲み方をすると急性アルコール中毒にならずに「時間あたりに飲める量」を知ることができます。


まぁこれを愚直に守れるひとはそうそういないと思いますが、だいたいの目安にすると良いでしょう。ちなみに私は「20分で中ジョッキを一杯」つまり2時間で6杯くらい飲むとべろべろに酔っ払います。