音羽理史テーゼを吹っ飛ばしたJANJANのスクープと、zakzakの2chドメイン差し押さえの「報道」


JANJANオーマイニュース鳥越俊太郎編集長の1月13日辞任を報じた。結果として13日辞任はなかったが、このことは市民メディアの方向性を考えるうえで重要な意味がある。


それは、市民記者が本当に伝えたくて書いている記事とは別に、どのような記事で世間の耳目を集めるかということである。


そもそも市民記者はそれぞれ書きたいことがあって市民記者登録するのだろう。たとえば、こういう活動をやっているので皆に知って欲しい、あるいは、こういう不正があるので糾したい。それは他者が求めるから書くのではなく、自分が伝えたいから書くのである。


しかしそういう活動をするのであっても、PVがなければそもそも見てもらえない。個人のブログのPVを維持するのには継続した努力が必要である。内部告発などは一発ネタだから、個人ブログで一気に世間に周知させることは難しい。


それゆえJANJANなりオーマイは「市民記者が本当に社会に伝えたいことを書き、それが実際に社会に伝わる環境」を整え、そうした人たちをサポートする必要がある。そのためには市民記者が本当に伝えたいこととは別に、PVを稼ぐために世間の耳目を集めている事柄に首を突っ込まざるを得ない。


さて、ネット界から注目を集めるにはどのような方法があるだろうか。


まず、オーマイはネットを論じ、2ちゃんねるにケンカを売るといった「議論」によってPVを稼いでいた。


もちろん鳥越編集長は意見より事実だと言っていたのであり、議論でPVを稼ぐというのは決してオーマイニュースの公式見解ではない。ニュースに興味を持つ人は少ないと言い切ったのは、オーマイで割合高いPVを稼いでいた音羽理史くんである。


こういう言い方は誤解を招くのかもしれないが、実際にインターネット利用者たちはそれほどニュースに関心はないのではないか――ぼくが感じるのはそういうことだ。

http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004384


しかしJANJANのスクープによってこの音羽テーゼは吹っ飛んだ。


件のJANJANの記事は「意見」ではなく「事実」である。しかもそれでいてネット界の興味関心を引く事柄だ。はてなブックマーク数や関連エントリの数などを見た印象を言うと、音羽君の「議論」に勝るとも劣らぬ興味関心を引いている。個人的な感想を言えば、音羽君の議論の百倍面白い。


また直接の関係はないだろうが、同時期に2ちゃんねるの話題が盛り上がった。これもまた、2ちゃんねるを批判する「意見」ではなく2ch.netドメインの差し押さえがあるという「事実」をzakzakが報道したことから始まったのである。


もちろん音羽くんの主張に音羽くんなりに実感がこもっていることを疑うわけではない。ありていに言うならば、音羽くんは「議論」を盛り上げる能力はあっても、ネット界から注目を集める事実、ファクトを報道する能力がないのである。


むろん議論を盛り上げるのはひとつの能力だ(僕には真似できない。)しかし、自分が「議論」によって名を上げたからと言って「事実」の報道の意味を疑うのはうぬぼれが過ぎると言えよう。