漫画で使われる英語:「マスター」が「主人」ではない場合


バーコードファイターの前衛っぷり」がゴルゴ31とかにリンクされてアクセス数がえらいことになっている。今日はBFネタの続きで行こう。


この漫画には、バーコードマスターというのが登場する。バーコードに詳しいお兄さん的なポジションである。実はリアルタイムで読んでいたころはマスターが一番好きだった。たとえば、ニーズホッグ(コンピューターウィルスのやうなもの。意思をもっている)に洗脳されそうになる主人公、烈。そこにマスターが乱入して、


「そこまでだ、ニーズホッグ」


と言う場面。主人公である烈より100倍くらいカッコいい。実は桜が男だと分かってもそれほど衝撃を受けなかったのは、バイセクシャルである自分がこの漫画で一番好きだったのはマスターだったからである。


さて、ここで質問です。バーコード「マスター」の日本語訳は何でしょう。「主人」と訳して「バーコードのご主人さま」だと思った人は、英語のセンスがゼロである。


MBAという資格が存在する。MBAとは何の略かと言うと、


Master of Business Administration


直訳すれば、経営学のマスター。これをご主人さまと訳してしまったら妙なことになる。大企業の社長がメイドたちに「経営学のご主人さまぁ」と呼ばれているわけではない。日本語訳は「経営学"修士"」である。大学院に2年間行くと貰える学位だ。


さて、なんでバーコードごときで「マスター」の学位を名乗っているんだと思った人もいるだろう。だが、それは気にしないほうがいい。BFにはあらわれないが、この手のSFには何の研究をしてるんだか分からない「博士」だとか「ドクター」があらわれるではないか。博士=ドクターであり、修士よりも上の学位である。


おそらく、博士という言葉は人口に膾炙しているが、修士という言葉はあまり一般的ではない(少なくとも子供が普通に知っている単語ではあるまい)そこで、英語でカッコよくするために「マスター」という語が使われたのではないか、と思う。