「同性婚」の問題は「人権教育・啓発活動」とは切り離して考えるべき。


http://conservative.seesaa.net/article/19202634.html
    (via. http://d.hatena.ne.jp/femmelets/20060614#p1)


川崎市の「人権施策推進基本計画」に対する批判。


その内容は多岐に亘っているが、バイセクシャルとして看過できない部分がある。一言で要約すれば「憲法は両性の結婚しか認めておらず、同性愛は否定されている。同性愛者の人権尊重は必要ない。」というものである。


さて、同性婚の話に入る前に、以下の文章を読んでみてほしい。意味が分かるだろうか。


mixi同性婚関連のコミュを見てみたら、行政書士が「遺言書を書きます」と宣伝に来ていた。


言っておくが、同性愛者に自殺を勧めているという意味ではない。


なぜ行政書士が出てくるような問題なのか、即座に分からないのなら同性婚に対する認識が甘いと言わざるを得ない。「同性婚」の問題というのは「同性愛」の問題とすら異なる。愛だとか宗教・道徳のような高尚な問題ではないのだ。社会に一定の割合で存在する同性愛者同士の実際の生活で起こりえる、現実的な問題なのである。


たとえば、同性愛者同士が2人で一緒に暮らしているとしよう。


そうするといろいろな問題が起こる。その最たる例は、一方が事故や病気で死んでしまったときに起こる相続問題だ。結婚している夫婦の場合、夫が遺言書を残していなくても妻は遺留分の2分の1は貰えると法律で決まっている。しかし同性愛者のカップルではそうはいかない。


同性愛者だから本人に子供がいないのは当然のことである。しかし、民法を見ると本人に子供がいなかった場合親や兄弟姉妹に相続権が発生する。仮に住居を同性愛者同士で共同名義にしていたとしても、所有権の半分を手に入れた遺族の間でモメれば、それまで住んでいた家を追い出されることにもなりかねない。


このような泥沼の事態になることを回避するために、上記にあげた遺言書のほかに、養子縁組をすることで相続権を持たせるといった方法が、すでに実際に行われているのだ。そこで行政書士が「お手伝いしましょう」と出てくるわけである。政府が憲法9条を改正せずに自衛隊を持ったように、同性婚は、憲法24条の「両性の合意」規定に基づかず、実態として存在しているものだ。


つまり「同性婚」は同性愛者同士の権利関係の問題である。これから同性愛者のカップルに法律上 夫婦並みの権利を認めるべきかということについては議論があるだろう。ただ、ひとつ言えるのは、先の川崎市の人権施策のような人権教育だとか、擁護活動とはまったく関係のない話であるということだ。