『死神の精度』


はてな年間100冊読書クラブに出す6冊目。


人間が死ぬべきかについて「可」か「見送り」かを決める死神の物語。死神が6人の人間を観察するオムニバス形式になっている。

死神の精度

死神の精度

死神は人間の姿をして人間を観察する。そのときの人間界での死神のズレっぷりがたまらなくおかしい。


死神が理容室を経営している老女を観察しているときのこと。老女からお客を集めてくれるように頼まれる。それを手伝った方が老女の観察を続けやすいと判断した死神はそれを承諾し、町にでて人々に声を掛けはじめる。が、ある集団に声をかけたとき、死神は殴りかかられそうになる。死神が髪を切らないかと声をかけたのはスキンヘッドの男たちだったのである。


随所にそういうネタがつまっている。


それはともかく、著者の伊坂幸太郎は独特の時間の描き方をすると思った。今回の『死神の精度』では最初の話と最後の話で30年近くが経っている。読み進めていくと唐突に30年経ってしまったような感覚を覚える。


もともと6本の作品として随時雑誌に掲載された作品だから、というわけでもなさそうだ。


前に読んだ*1「砂漠」は「春・夏・秋・冬」という4つの章で構成されていた。てっきり1年間の話なのかと思って読み進めたら最後になって実は大学4年間だったということが分かる。「砂漠」は書き下ろしだったはずである。


時間があっという間に過ぎるということを描こうとしているのだろうか。うーん。

*1:刊行された順番は逆