裏のビジネスと脱税

『人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?』 (角川oneテーマ21)という本が面白かった。が、アフィリエイトをやるつもりはない。読みたいと思った人は図書館で探すなり買うなりしてください。


この本では、「表」のビジネスと「裏」のビジネスの税金についてのエピソードが満載だ。まず表のビジネスから始まる。


趣味が昂じて個人でスニーカーの販売を始めた青年が、税理士から私服でも経費で落とせると聞いて驚いた話。友人に作ってもらったホームページに対し作成料を払い、それを経費とした話など、雇われていることが当たり前だった人にとってはなかなか興味深いものだ。


次に、裏のビジネス。著者によると、ソープランドというのは「個室付浴場」であって「店とは関係ない女の子が勝手に入ってきてお客さんと自由恋愛をしている」という理屈で売春防止法の適用を免れているという。それゆえに店はソープ嬢に支払われるサービス料を税務署に申告しない。そして税金を納める主体となるはずのソープ嬢は「確定申告」という言葉すら知らず、税金を納めていないのである。


そして著者は最後に「支出税」を提唱する。支出税とは所得から貯蓄を差し引いた「支出」に対して課税するものである。消費税がお店が一定の割合を払う間接税であるのに対して、支出税は本人が申告する直接税である。著者によるとこの支出税にはさまざまなメリットがあるという。


まず、ひとりひとりに申告させることで、たくさん支出した人に重い税金をかけ、使わなかった人の税金を安くする累進課税とすることができるということ。次に、投資や株券を「貯蓄」として支出税をかけないことで、同じ収入のあった投資家でも、消費せずに新しい事業に投資したほうが税金が安くなること。最後に、スポーツ選手など生涯のなかで一時期に収入が偏っている人にとっては、所得税累進課税が重い負担となるが、支出税なら使わなければ税金がかからないということ。


個々人が申告することに不安を感じる向きもあるかも知れない。しかし、これまで見てきたように、税金の申告は今までもそれほど厳格に行われてきたわけではないのだ。