文学フリマでゆとり世代部発行「ゆと部報」を買った


文学フリマなるところに行ってみたところ、ゆと部報なる珍書が売られていた。ゆとり世代がつくった同人誌だそうである。ゆとり世代部id:amuhimaくんが「冊子は薄いし中身も薄い!」という営業トークをしていた。「部屋のインテリアに!」という掛け声をしていた者もいる。


もちろんこれは謙遜だろう。一読してみたが「ゆとり世代」がケータイ小説読んで馬鹿になっているというのは何かのデマではないかと思う。仮に馬鹿になっていたとしても、それは自分が馬鹿であることを知っている馬鹿、すなわち自らが無知であることを知っている賢者である。


小説に対するひとことレビューをまとめておく。

タイトル 作者 レビュー
冷蔵庫 littlelielittle 狭く冷たいところでも、気持ち次第で広く暖かくなる
kopy machine littlelielittle 「もうひとりの自分」が人気なのは自己申告のデータだから?
battlefield classroom littlelielittle 「焦り」には日常も戦場もない
安眠 debedebe 最後まで気が抜けない強烈なブラックジョーク
安眠2 debedebe どこまでもつきまとう最強のストーカーは自分自身の心なのかも
一般化 debedebe 理屈で文学を究めるとこうなる
逆太郎 debedebe ご都合主義の童話はこうやってつくる
ウォーリー系アイドル debedebe 男と女の追いかけっこ
タミフルな夢 marubon あとがきで明かされる驚愕の結末
strada subito dopo la pioggia seo19114 最後に微笑みたくなる青春のエピソード
さよならと云いし日に seo19114 切ない。
真っ赤なリンゴにお願い azmin 梶井基次郎の『檸檬』っぽい


小説のほかに、書評もある。


id:bummyは「岡本かの子『鮨』論」というものを書いていた。自分は岡本かの子の書いたものを読んだことなどないし、それに対する批評など分からない。だが、通りがかった人がパラパラとページをめくったあと「岡本かの子論を書く人がいるんですね」「ネットで"ゆとり世代部"と検索すれば出てきますか?あとでチェックしてみます」と言っていた。岡本かの子を全然知らなかった自分は、この通りすがりの人の反応に驚いた。


今からでもid:azminくんに問い合わせれば通販で買える。また、早稲田大学文学部隣の「あかね」にも置く予定がある。ほしいと思ったら買うと良いと思う。