ひとりぐらしの楽しみは、自分にとって快適な空間をつくること


一人暮らしにおける家事労働というのは「社会的に許容される範囲内において、自分にとって快適な空間をつくる」ということであろう。


社会的にどうこうというのはたとえば掃除を怠って壁紙にカビが生えたらあとで賠償請求されるかも知れないとか、あるいは洗濯していない服を着て外に出たら白い眼で見られるということである。


で、まぁそれ以外のことは自由にやってよいということになっている。


まぁつまり自分が快適であるように生活を送ればよいのである。が、ここで重要なのは、自分にとって快適な空間をつくるとは、面倒くさいことを放棄するということではないということである。面倒くさいことを放棄すると壁にカビが生える。そうではなくて面倒くさいことを回避する知恵を出すということである。


たとえば自分は食料を買い置きしてある。これは何も料理をするのが好きだとかいうような話ではない。僕の場合は「休日にコンビニまで朝食を買いに行くのが面倒くさい」という極めて俗物的な理由によって行っている。それゆえ普通の料理に使うようなナマモノはほとんど買わない。腐らせて捨てるのが嫌だからである。休日から次の休日までのあいだ余裕で保管できるクラッカーなどを好んで購入している。


皿洗いにしても、自分は「食い終わったあとすぐに洗えば楽。乾いてから洗うのは大変。食べてすぐ洗わないなら水に浸しておきなさい」ということを母から叩き込まれていたのであって、あとで楽にするがために食い終わってすぐに洗うわけである。


そういうわけで、自分が借りたアパートは自然の多いところに建っているボロ屋なのでアリやコオロギ、そして蚊の類が訪問してくることはときどきあるが、とりあえずいまのところゴキブリとかハエはいらっしゃっていない。