「食育基本法」を廃止して「将来の親への教育」に転換したら?
最近話題になっている、子供の給食費を払わない親の問題について書いておこう。
最初にまず根本的な誤解をただしておく。義務教育だから国なり自治体は子供に無償で食事を与えなければならないということはない。
学校給食法を引用してみる。
第四条 義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。
学校設置者(公立だと地方自治体)は給食を実現するよう努力しなければならない。これは努力規定であり、学校設置者が給食を実施しなければならないという義務は存在しない。
一方で民法で親には養育の義務(法律上は「監護」の義務)がある。これは明確に義務である。だからどう読んでも子に食事を与えるのは親の責任としか読めないのである。義務教育だから子供にタダ飯を食べさせろなどというのは寝言としか言いようがない。
次に「調理のための人件費などは自治体側が出す」「材料費は親が納める」というようなことの根拠となっている条文を抜き出して見る。
第六条 学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育諸学校の設置者の負担とする。
2 前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費(以下「学校給食費」という。)は、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項 に規定する保護者の負担とする。
負担を負うのは「学校給食を受ける」子供の保護者である。つまり、子供が給食を食べている以上、その親は材料費を出さなければならないと書いてあるわけだ。
すごく常識的なことが書いてあるとは思わないか?
ここからは裏読みなのだが、給食を食べていなければ材料費を納めなくて良いということになる。「学校給食を受ける」子供の保護者は経費を負担しなければならないが、「学校給食を受けていない」子供の親が経費を負担しなければならないなどとは書いていない。つまり、きちんと弁当を持たせるならば、給食費は納めないでよいのである。実際にアレルギー体質のある子供にはそういう措置が認められている。
そういう法律の路線を遵守すれば良いと思う。しかし最近これとはまったく別の方向性の法律が成立した。それは「食育基本法」という法律である。前文を読んだ限りでは、食べ物に対する判断力を養うことで良い社会がつくれるよね、というようなことが書いてある。おそらくその前提として「誰が何を食べるべきかは強制できない」「でも知識は教えておくべき」というような発想がある。
そんな手ぬるい法律では、目下の問題を解決できないのではないか。最後に俺の提案。
- 親は子供に対して適切な栄養を与える義務を負う
- 給食はその手助けをする
- 子供は「将来、親になる可能性があるので」義務教育で食に対する知識を教える
なにをもって適切な栄養とするかは専門家が議論して、政令なりなんなりで指定する。そんな感じでいいんじゃないですか。