大人の交通安全

横断歩道:手を上げると、車停止率0→62% 「意思表示が事故予防効果」
http://www.mainichi.co.jp/universalon/clipping/200609/085.html


群馬県警のアンケートで、歩行者が手を上げると車の停止率が62パーセントに増えるという結果が出たらしい。(どのようなアンケート方式なのか良く分からないが)


自分は警備(交通誘導)のバイトをやって、車に向かって手を上げることの必要性やその限界なども理解している。横断歩道を渡る際は、わりあい自然に手を上げるようになってきた。


最近、普通の成人でも横断歩道を渡るときに手を上げる人が増えてきているように思う。それは良いことなのだけれど、どうにも妙な上げ方をしているのが気になる。肩から水平に腕を伸ばし、肘で直角に曲げ、手の平を前方に向ける。あるいは腕をまっすぐ上に伸ばす。おそらく、やっている本人たちは正しい上げ方だと思っているのだろう。


一方で、リンク先を読むと恥ずかしいから手をあげないと言う人がいる。あの「正しい(と思われている)手の上げ方」を見て「恥ずかしい」と思っているのではなかろうか。


また、これは別のところで見たのだけれど、手を上げるのはタクシーを待っているのと間違われるというような意見もある。けれどあれはタクシーに対して「止まれ」と言っているのだ。タクシーを止めるのにも使えるが、手を上げるのには「止まれ」以外の意味はない。


必要なのは、馬鹿みたいに手を上げることではない。基本は「手を上げて、止まってほしい車に手の平を向ける」ことである。必要なのは、車とのコミュニケーションだ。


ではここで質問、


Q.信号のある交差点を渡るときに、歩行者や自転車が手を上げる対象はどれか。

1)赤信号で交差点を突破しようとしている車
2)右左折で横断歩道を横切ろうとしている車
3)前方から来る邪魔な歩行者


1を止めて渡ろうとするのは自殺行為だ。赤信号を突破しようとするからにはスピードを出しているわけで、これを止めて渡ろうとするのは自殺行為だ。いくら意思表示しても、車は急に止まれない。


2の右折車と左折車は、歩行者が横断歩道を渡っている場合に止まる義務がある。ただ「歩行者より先に通ってしまおう」と判断する車もいる。そこで歩行者が渡る意思を示して止める必要が出てくる。これらの車は、1の直進車と違って、曲がるために減速している(はずだ)から止まることができるのだ。


ちなみに先ほどの「正しい(と思われている)手の上げ方」で、手の平を正面に向けると3の歩行者を止めるという意味になる。そう解釈する人間はいないだろうが、間違っているのでやめよう。


交通安全教室などでは、横断歩道を渡るときは右、左を確認しましょう教えるのだろうけれど、交差点で歩行者が右や左を見て右左折車に気づくのでは遅いと思う。確認するのは左右というよりは斜め後ろと斜め前である。できれば、横断歩道を渡る数秒前に確認したほうがよい。そしてかち合いそうな車がいたら手を上げよう。たいていの場合、車は止まる。止まる気配がなかったら、スピードを上げて通り抜けるか自分が止まるかの判断をしよう。


さて、手を上げるのが恥ずかしい……と思っても、絶対にやってはいけないことがある。それは「お辞儀・会釈」である。どーもすみません通させていただきます、というつもりでお辞儀をしたとしても、相手は逆に「あ、止まってくれるのね」と勘違いすることもある。


信号のない路地などで、車と歩行者がかち合ったときに、両者とも止まることがある。そして両者とも止まったのはよいが、同時に動き出して、また止まるということがときどきある。歩行者が「止まってくれてありがとう」の意味でお辞儀や会釈をするとこういうことが起こる。ちゃんと手を上げればこんなことは起こらない。


歩行者にとって、手を上げるというのは基本的な合図であり、車とのコミュニケーションの手段だということを理解しておこう。