香ばしい精神医学論争
http://d.hatena.ne.jp/gerling/20060726
まず、一読して何が言いたいのか分からないエントリである。
で、精神医学に対する懐疑の部分について、farceurさんという方がコメント欄に書き込みをした。
元患者の立場としては現実に、心理療法よりも薬物 + 休養の方が圧倒的に効きましたよ。現実に毒矢が刺さって苦しんでいる身としては、毒の成分がなんであるかはどうでもよくて、毒矢を抜いてくれる医者が有り難い医者なわけです。
これに対してgerlingくんがどのように反論したのかというと、
実際に使ったことがないので、抗うつ剤の効果がどの程度のものか知りませんが、抗うつ剤というのは「治す」薬ではありません。あれは一時的に心を平静にするための薬です。《中略》
大体にして、内科医の仕事は風邪にかかってる人に「休め」って言うだけですか?「休め」っていうだけで成立する「医療」っていったい何なんだか。
意味がわからないのだが、たとえば風邪の薬は一時的に症状を抑えるものだ。病院で渡される抗生物質は「細菌」に対しては効き目があるが、風邪の原因である「ウィルス」に対しては効果がないという。gerlingくんは、精神医学だけではなく内科医の「医療」にも疑問を呈しているようである。
まぁ、そこまでは良い。gerlingくんは医学全般に対する批判をしているのかも知れない。ただ、対話になってねえなと思う部分がある。それは休めと言うだけという部分である。
farceurさんのコメントははっきりと「薬物プラス休養」と書いてあるのであって「薬物や、それとは別に休養すること」などとは一言半句書いていない。薬を渡したうえで安静にするよう言うことと、安静にするようにと言うだけということでは、まったく違う。
世の中には鬱病に対してただ休めというだけ言う医者がふんぞり返っているのかも知れない。しかし、farceurさんに対する反論としてそれを持ち出すことには、意味がない。
そして、それ以上に俺がgerlingくんを軽蔑するのは、彼が、「心理学は主体化の学問」であるとか、「心の病にかかるような確固たる主体」はないなどの、自分の主張の核心となるべき部分について詳しい説明をしていないことである。「ぼくは常々精神病の治療に一番効果的なのは洗脳だと言ってるんです」ってのは、初めて聞いた話*1である。詳しい説明なしで語ってよいことではあるまい。
相変わらずやね。知識がないというより、まともに対話できない人だ。