「自費出版」と「形式上のメジャーデビュー」


僕はよく「物書きになりたい」「自費出版でいいから本を出したい」という寝言を吐いている。


それを聞いた知人たちが、文芸社だの新風舎だのの原稿募集を見て「こんなのがあった」と薦めてくれる。ありがたいことではあるが、そんなのはとうに知っている。


しかし最近、母親までがそんなことを言い出した。さすがにいちいち説明するのが面倒くさくなったので、ここでまとめておく。


文芸社だの新風舎だのがやってくれるサービスとは何か。それは「形式上のメジャーデビュー」である。


まず、文芸社新風舎に限らず、出版社を通して自費出版するとISBNコードが付される。世の中には同じタイトルの本がある。ISBNコードはそれらを管理するために付けられるものだ。これは、主に書店が発注のために使うのである。


しかし、僕が作った本を書店が注文してくれると思うか?


次に、文芸社のHPを見ると、自費出版であっても「必ず一定期間、書店に並びます」と書かれている。まぁ、自費出版したい人の心をくすぐるサービスである。


ここで考えてもらいたいのだが、あなたは本屋で出会ったのがきっかけで買った本、どのくらいありますか?絶無ではないだろうけれど、決して多くはないと思う。本屋に置いてもらうための手数料だのなんだのと言って、余計なカネをむしり取られるだけである。


それに、ISBNを付した本を出版してしまうと、形式上「プロ」と見なされて、新人賞の応募資格を失ってしまう場合があるという。「形式上のメジャーデビュー」にはデメリットもあるのだ。


そういうわけで、僕は自費出版するなら出版社に持ち込まず直接印刷屋に持っていく。つまり、完全なインディーズとするわけだ。ネットでの通信販売のみ。そのほうが安上がりで都合がいい。


ま、その前に単著になるほどの原稿がないわけだが。