喪男の恋愛学


恋愛とは馴れ合いの最終形態である。ただ、喪男である自分は夜にひとりでこそこそとセリフを練っていたりする。


たとえば、片思いで好きな女がいるとする。たまたまその女と話す機会があったとする。そして「××くんって何考えてるか分からない」と、グサッとくる一言を言われたとする。


その場合、こう言ってみようと考えていた。


「俺は以前、母親から『20年一緒に暮らしてきたけどあんたのことは未だによく分からない』と言われた。もし俺を本当に知りたいなら、俺の嫁にでもなって一生付き添うしかないんじゃない?」


ちなみに自分は本当にある女にこのセリフを言おうとしたことがある。実際にどういう経緯だったのか説明するのは億劫なので説明しない。


まぁ、流石に「俺の嫁にでも……」以下は羞恥心が働いて言えず「俺を知ろうとするなら、長い時間が必要だ」とか言ったが。


しかしたとえ「長い時間」だったとしても、文脈的には20年以上を指すわけで、間違いなく「何を言っとんじゃこのボケ」と思われたに相違あるまい。嫁がどうとかまで言ってたら、足をコンクリで固めたうえ東京湾に沈められていただろう。


それはともかく、好きな女ができたら、あとはどれだけ相手の心に残るインパクトのあるセリフを吐けるかだ、と思う。そのためには、ひとりで妄想しながらセリフを練ることも必要かな。あっという間に忘れられるかも知れないけど、言うだけ言って振られるならいいじゃない。