NHKはこんなじゃなかったと言う前に、番組の趣旨を読もう。


紅白歌合戦DJ OZMAの演奏の際、乳首まで描いたボディースーツを着た女性が出てきたことに苦情が寄せられたという。


これは2chでも話題となり「痛いニュース」「日刊スレッドガイド」などにエントリが掲載された。


しかし、それを読むと自分が勝手につくりあげたNHK像をもとにNHKはこんなじゃなかったと言うような意見が散見される。僕はそのような批評に到底意味を見出せない。思い込みは物事を評価する目を曇らせる。それになによりも他人様に勝手なイメージをつくるのは気持ちが悪い。


そもそもNHKのイメージを語れるほどNHKを欠かさず見ている人ってどれくらいいるのだろうか。少し前に自分の知人はNHKの番組を見て「どうせ誰も見ないからと思って好き放題やっていやがる」と言っていたのだが。紅白やる前から既に既定路線。


まぁそれは個人の主観として、では、NHKは今回の紅白歌合戦を公式にどのように位置付けているのか?紅白歌合戦のHPから引用してみよう。


高齢者がメロディー豊かなJ−POPの存在に驚き若年層は日本の文化の一面を形成してきた演歌に親しむ、「第57回NHK紅白歌合戦」は、世代を超えて日本の歌謡曲を心から楽しんでもらえるよう、「あたたかい紅白」を目指します。

http://www3.nhk.or.jp/kouhaku/news/news_061101_1.html


意味深である。


「異なる世代の文化を伝え、高齢者を唖然とさせた」という意味において、DJ OZMAの企ては紅白の目的の一端を成しているのである。(おそらく「楽しんでもらえる」「あたたかい」紅白は別の歌手が担っているのであろう。)それゆえに、これは趣旨に反するか反しないかのギリギリのラインである。


むろん、NHK側の発表によれば、DJ OZMA側はリハーサルの段階では別の衣装を着ていたということなのであり、そのような行為が妥当かどうかについては議論があって良い。


しかし僕は思う。こういう演出が家族で見るのにはふさわしくないと言う前に、まず個人としてどう思うかを語るべきだ。我が家はそもそも紅白をきっちり見ていないが、俺自身の主観を言えば、NHKがやったというだけで親戚一同の集まりでこの話ができるような気がする。


つまり、この番組を、世代間の議論の機会にすることができる。


ニコニコしながら当り障りのない話をするのが家族ではない。みんなで「けしからん」「いや普通だ」と、本音の議論ができる、あたたかい家族があって良いはずだ。