独り言を言う人(国会図書館編)
国会図書館で独り言を言う人を見かけたことがある。その人は、メガネをかけたサラリーマン風の男だった。
男は図書館から借り出したと思われる週刊誌を読み、それをパソコンに打ち込んでいた。そして、ぶつぶつと呟いていたのである。
どうやら、週刊誌に書かれている犯罪に憤っているらしい。「ふざけるな」といったたぐいの言葉が出てきた。
正面に座っていた僕は耳障りなので睨みつけた。しかし、男の独り言は収まらない。むしろ「お前も興味あるのか」と言わんばかりに、独り言の説明が詳しくなった(ような印象を受けた)
男のひとりごとは、彼の隣に座っていた人が耐え切れなくなって「静かにしていただけますか」と言うまで続いた。
男が何のために週刊誌をパソコンに入力していたのか、知るよしもない。
ただ……
犯罪少年の個人情報を晒し上げるサイトなどを見ると、どうしてもあの男の顔を思い浮かべてしまうのである。あの光景を見る前と後では、明らかにその手のサイトに対する見方が変わってしまった。
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